マクロ経済2026-07-15

債券デュレーションと金利リスク: なぜ長期債は大きく揺れるのか

デュレーションが測るもの、なぜ長期債は金利上昇で価格がより下がるのか、価格インパクトの読み方と管理法。

国債はしばしば安全と言われますが、2022年に長期の米国債は30%以上下落しました。その理由がデュレーションです。金利が変わったときに債券価格がどれだけ動くかを理解するうえで、最も重要な数字です。読み方を整理します。

なぜ金利が上がると債券価格は下がるのか

債券は固定の利息(クーポン)を払います。市場金利が上がると、新発債はより多くの利息を払うため、利息の少ない既発債は誰かが買うには値段が下がるしかありません。価格と利回りは反対に動き、これが金利リスクの根っこです。このシーソーの仕組みは債券価格と利回りの記事で詳しく扱っています。

同じ金利上昇でも長期債の価格が短期債より大きく下がる様子

同じ幅で金利が上がっても、満期が長い債券ほど多く失います。この追加の感応度こそがデュレーションです。

デュレーションが測るもの

デュレーションはおおよそ、金利が1%ポイント変わったときに債券価格が何%動くかを表します。デュレーション8の債券は、金利が1%上がれば約8%下がり、1%下がれば約8%上がります。満期が長く、クーポンが低いほどデュレーションは大きくなります。

💡 Tip: 目安の式は、価格変化 ≈ −デュレーション × 利回りの変化です。デュレーション10で金利が0.5%上昇なら、およそ5%の下落です。

満期 おおよそのデュレーション 金利1%上昇時の価格
2年 約1.9 約−2%
10年 約8.5 約−8%
30年 約19 約−19%

数値はクーポンによって変わる概算ですが、形は変わりません。債券が長いほど揺れは大きくなります。

クーポンがデュレーションを変える理由

満期が同じ日の二つの債券でも、デュレーションは違いえます。デュレーションとは実のところお金が返ってくるまでの平均時間であり、いつ・いくら戻るかで加重した値です。クーポンが高ければ現金が早い段階で多く戻るため、その平均が前へ引かれ、デュレーションは短くなります。クーポンが低ければ返済の大半が最後に固まって残るので、債券の価値は遠い将来に依存します。そして金利の変化がもっとも強く値づけし直すのは、まさにその遠い将来です。

満期まで何も払わないゼロクーポン債のデュレーションが最も長いのはこのためです。支払いが最後の一回だけなので、デュレーションはそのまま満期と同じになります。

コンベクシティ: デュレーションが外す部分

デュレーションは価格と利回りの関係を直線と仮定しますが、実際は曲線です。この曲がりをコンベクシティ(凸性)と呼び、たまたま債券保有者に有利に働きます。同じ幅の変化でも、利回りが下がるときに上がる幅のほうが、利回りが上がるときに下がる幅より少し大きいのです。

実務上の帰結は、デュレーションが小さな変化には良い近似で、大きな変化では過小評価になるということです。金利が3%下がれば長期債はデュレーションの予測より少し多く儲かり、3%上がれば少し少なく損します。コンベクシティはクッションであって救助隊ではありません。上の目安を公式ではなく推定値として読むべき理由です。

短期債と長期債

長期債は、その大きな価格リスクを補うために、たいてい利回りを少し多く払います。金利が下がると見るなら利益は長いデュレーションにあり、金利が上がると見るなら短いデュレーションが元本を守ります。

⚠️ 注意: 満期の長い国債は自動的に安全ではありません。信用リスクは低くても金利リスクは高く、金利が上がる年には大きく下がりえます。

2022年がもっとも明快な実例です。30年米国債を持っていた投資家に返してもらえないリスクはまったくなく、米政府はすべてのクーポンを予定どおり支払いました。それでも時価の約3分の1を失いました。金利が急上昇し、デュレーションが文字どおりその仕事をしたからです。信用リスクと金利リスクは別物であり、片方は無傷でももう片方は容赦ない、ということが起こりえます。

ポートフォリオでのデュレーション管理

金利が上がりそうなら、短い債券や現金に近い資産を増やしてデュレーションを短くできます。満期を複数年に分けて持つ債券ラダーはリスクを分散し、満期が来るたびに再投資できます。要は、実際にお金が必要な時期にデュレーションを合わせることが核心です。

この最後の一文こそ、身につける価値があります。3年後にお金が必要なら、発行体がどれほど堅実でも30年債はリスクです。そのときの金利が作った価格で売らざるをえないかもしれないからです。逆に同じ債券を満期まで持てば、途中の揺れは自分に触れません。クーポンが入り、元本が戻ります。デュレーション・リスクとは結局「途中で売らねばならないリスク」です。

債券ファンドやETFにはここで注釈が要ります。それらには満期がありません。 20年債を組み入れるファンドは新しい債券へ乗り換え続けるため、デュレーションはおおむね一定に保たれ、価格はただ金利を追いかけます。「満期まで持てばよい」という逃げ道はそこにはありません。欠陥という意味ではありませんが、同じ債券を持っていても債券ETFと個別債券は違う動きをする、ということです。

何を見るか

デュレーションのリスクは金利見通しとともに動くため、米10年債利回りFedの金利経路を合わせて見てください。グローバル・マーケット・ダッシュボードは国債利回りとイールドカーブを1画面で表示し、金利の圧力が高まっているかを素早く確認できます。

さらに読む

やさしく丁寧な解説として、アネット・タウ(Annette Thau)のThe Bond Bookは、債券とデュレーションの実際の働きを扱った定評ある参考書です。

一次情報: 債券、米SEC投資家教育

本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。

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