Market Signal 算出方法
市場環境の総合指数をどのように計算しているか、その全過程を公開します。
最終更新日: 2026-08-05
この指標とは何か
Market Signal(市場環境の総合指数)は、FearGridが公開データから自ら計算する0~100の指数です。物価、金利・流動性、心理・ストレスという三つの軸を一つにまとめ、今の市場のマクロ・金融環境がリスク資産にどれだけ追い風かを要約します。値が高いほど追い風、低いほどストレスが大きい状態を意味します。特定の機関が公表する既存の指数をそのまま転載したものではなく、公開された元データを独自の基準で加工して作った指標です。
データの出典
すべての入力値は無料で公開されている元データです。セントルイス連銀が運営するFRED(米連邦準備制度・労働統計局・財務省のデータ、パブリックドメイン)から物価・金利・ドル・金融環境の指数を取得し、暗号資産の恐怖・強欲指数はAlternative.meから取得します。誰でも同じ元データを入手し、以下の計算を再現できます。
三つの構成要素と比重
各構成要素を0~100に換算したうえで、以下の比重で合成します。株式の局面により直接つながる金融環境(心理・金利)に比重を大きく置いています。
- 心理・ストレス(比重45%):シカゴ連銀の金融環境指数のリスク部門(NFCIRISK)と信用部門(NFCICREDIT)、および暗号資産の恐怖・強欲指数。金融ストレスが低く、リスク選好が高いほどスコアが上がります。
- 金利・流動性(比重35%):米国債10年物と2年物の利回り差(T10Y2Y)、および連邦準備制度の広義ドル指数(DTWEXBGS)の6か月モメンタム。イールドカーブが急で、ドルが安定しているほどスコアが上がります。
- 物価(比重20%):コア消費者物価(CPILFESL)の前年比上昇率が、連邦準備制度の2%目標からどれだけ離れているか。上下どちらであれ目標から離れるほどスコアが下がります。
自らの分布に対する標準化
この指数の最大の特徴は、各構成要素を絶対的な数値ではなく、自分自身の直近3年の分布の中でどの位置にあるかに換算する点です。3年平均が50点となり、標準偏差1つ分ずれるごとに20点動き、標準偏差2.5の地点で0点と100点に達します。この設計には理由があります。初期には各構成要素を任意に定めた定数で0~100に対応させていましたが、その定数が実際の変動幅と合わず、指数は3年間ずっと53~69の間にとどまり、良好という判定が98%を占めました。事実上、定数と変わらなかったのです。自らの分布を基準に変えて初めて、各入力が平常時からどれだけ離れているかを意味するようになり、指数が実際に0~100の範囲を使い始めました。
成長・雇用の指標を除外した理由
初期版には新規失業保険申請件数と失業率をまとめた成長・雇用の構成要素がありましたが、現在は合成から除外しています。雇用は代表的な遅行指標であるため、市場が先に揺れる局面でも高いスコアを維持し、指数を押し上げてしまったからです。実際に2026年7月には、心理スコアが36まで下がった状況で成長スコアが89を記録し、総合スコアを追い風の水準まで押し上げることがありました。実感と食い違うと判断し、成長は合成から外して、雇用の状況は要約文と別の経済指標の項目で個別に示すことにしました。
スコアの区分
最終スコアは次の五つの区分に分けて表示します。
- 0~29 リスク回避:リスク資産に逆風のストレス局面
- 30~44 注意:リスク要因がやや優勢な局面
- 45~54 中立:明確な方向感のない局面
- 55~69 良好:リスク資産に追い風の環境
- 70~100 リスク選好:リスク資産に非常に追い風の環境
更新の頻度
指数は6時間ごとに更新されます。日次の軸は米国債の長短金利差の営業日を基準とし、週次で公表される金融環境指数や月次の物価指標は直近の公表値を引き継いで使用します。元データが新たに公表されると、遅くとも6時間以内に反映されます。
この指標ではないもの
Market Signalは将来の株価を当てる予測モデルではなく、売買シグナルでもありません。今のマクロ・金融の背景を一つの数字に要約して示すだけであり、週次・月次の公開データから作られるため、日々の急騰・急落よりも背景の流れを読むのに適しています。またVIXやS&P500、韓国総合株価指数のように商業的な再配布が制限される第三者の指数は使用しません。ボラティリティはシカゴ連銀の金融環境指数で、為替は連邦準備制度が算出するドル指数で代替し、パブリックドメインのデータだけで再構成しています。
構成要素をさらに知る
各構成要素で使われる概念は、以下のガイドで詳しく解説しています。